テレビはほどほどに

「脳トレで頭すっきり」2017年7月26日 東京新聞朝刊から抜粋しました。

ここまでは脳をどうやって働かせて、脳の健康を守るかについて書いてきました。ここからは、逆に脳の健康を損ねる習慣について触れたいと思います。

まず皆さんに知っていただきたいのは、テレビの危険性です。さまざまなテレビを見ている時の脳活動を計測したことがありますが、活発に働くのは、大脳の視覚領域と聴覚領域のみ。肝心の前頭前野は働きを逆に下げてしまうことがわかりました。

頭を使いそうに思えるクイズや学習の番組を見ていてもそうなります。この前頭前野の働きが下がる状態は、非常にリラックスした時に出現します。おそらくテレビを見ることは、脳をリラックスさせることなのです。それはそれで目的に合っていると思います。

ただ、テレビを長時間見る習慣を持つということは、起きて活動している時間なのに前頭前野を寝かし続けていることになります。テレビを長時間見る人はアルツハイマー病になりやすいという論文があります。

私たちの調査でも、テレビを長時間見る子どもは、言語能力が低下し、前頭前野の発達が遅れることがわかりました大人も子どもも、テレビはほどほどにしておくのが吉です。

(東北大加齢医学研究所長 川島隆太先生)